ワニス

綴りはvarnish。バニス、ヴァニス、バーニッシュとも読む。
油彩画やアクリル画、水彩画で画面を保護し、つやを調整するために塗布される樹脂。
製作中に絵具に混ぜて絵具のつやを調節する事もできる。
特に絵画が完成して、最後に塗るワニスをタブローという。

油絵や厚塗りのアクリル絵具、アルキド樹脂絵具では、絵具が乾燥し揮発成分や水分が抜けた穴に光が乱反射する為につやが引いた状態になる。また、絵具でも顔料の粒子が大きいものはその粒子の凹凸でつやが出にくい。このざらつきを塞ぎ絵具の表面を平らにする事によって画面につやを与えるのがつや出しタイプで、「つや出し」「グロス」等の言葉が入って売られている。反対に絵具のつやを消すものもあり、蝋やシリカを含む事によって画面をざらざらにしてつやを出さないようにする。

制作の途中で使用する

絵具には顔料の性質によってつやのある色・つやの無い色があり、つやのある色は深く見えるので暗い印象、つやの無い色は平らに見え明るい印象になる。製作中のつやの異なる絵具の使用で画面の中につやのムラができてしまった場合、そういった印象の違いによって色のバランスが崩れてしまう事がある。ルツーセや絵具に混ぜるワニスを使う事によって画面のつやを統一し、完成の印象に近いままで制作をする事ができる。

制作の最後に使用する

完成した絵画をガスや煙(特に煙草のヤニ等)、塵や埃から守るため、また画面のつやを調整するために塗られる。油彩の場合タブロー自体は黄変する事があるが、ペトロールを使ってはがせば再び塗り直す事ができる。

タブローは絵具の表面を覆うように塗布される。
そのため絵具がまだ完全に乾燥していない状態で塗ると絵具に含まれる水分や揮発成分の行き場所が無くなり、画面が白く濁ったり、絵具の耐久性を損ねる原因にもなる。
油彩の場合は半年以上、アクリル絵具でも24時間以上は乾燥させてからの塗布が安全。

完全乾燥前に画面につやを持たせたい場合は一時的につやを回復させるワニス(ルツーセ)を使用する。ルツーセは樹脂の濃度が他のワニスに比べて低く、絵具を呼吸できる状態にしながらつやを出す。
普通のワニスよりは作品を保護する力が弱いので、ルツーセを塗った場合でも絵具の完全乾燥後にタブローを塗るのを忘れないようにする。

油絵具でタブローを塗る際、画面上ではじいて上手く塗れない事がある。
こういった時ははじく箇所をペトロールかテレピンを含ませた布で拭き、はじかないようになった後で再び塗る。
そのままタブローを塗り続けると画面が凸凹になり画面が荒れてしまう。

○透明水彩&薄塗りアクリル絵具
コート剤として、防カビ効果のあるスプレーが市販されている。
また、紫外線保護効果のある水彩画用ワニスもあり、インクジェット出力した紙にも向いている。
水彩絵具の場合制作しながら使用する事はほとんど無く、完成後に吹きつける。
使用法・成分的にもワニスよりフィキサチフに近い。

・UVグロスバーニッシュ(ホルベイン) 220mlエアゾール
 組成:アクリル樹脂、精製石油系溶剤
・UVマットバーニッシュ(ホルベイン) 220mlエアゾール
 組成:アクリル樹脂、ワックス、精製石油系溶剤
・水彩画保護ワニス(ホルネイン) 220mlエアゾール
 組成:防黴剤、合成樹脂、エタノール
※製品情報は2004年06月現在

腕鎮

イーゼルで絵を描く際に、腕を支える道具。マールスティック。
細部を描き込む時に使うと安定して描く事ができる。
棒の先をコルクや革でつつんで、画面を傷つけにくいようにできている。

和紙

日本伝統の紙。洋紙に比べて繊維が長く、しなやかで強い。主に日本画で支持体として使われているが、風合いの面白さから水彩絵具やペーパークラフトでも良く用いられる。 ドーサの塗られていないものを生という。